2012年5月20日日曜日

ぷろどおむ えあらいん 「ペトカウ効果」は低線量被曝が健康に大きな影響を与える根拠となるのか?


投稿日:2011-06-16 Thu

(2011.6.17 一部加筆修正しました)
まただいぶ間が開いてしまいましたが,今回のテーマは表題の通り「ペトカウ効果」です。

きっかけはtutujiさんにいただいたコメント中にあった「ぶらぶら病」というキーワードが気になったからです。

ぶらぶら病の詳細については,私自身もGoogleで引っかかってくるレベルの知識しかありませんので詳細についてはコメントしませんが,その根拠として「ペトカウ効果」や「ペトカウ実験」などのキーワードが必ず出てきたので調べてみる気になったと言うことです。

さて,このペトカウ氏(A. Petkau)ですが「医師」であるという紹介もされているようですが,正式の所属(少なくともこの研究をした当時の)は論文では「Medical Biophysics Branch, Whiteshell Nuclear Research Establishment, Atomic Energy of Canada Limited」と記載されていますので,カナダ原子力公社(AECL)のホワイトシェル原子力研究所の研究員(もちろん医師免許を持っているのかもしれませんが)のようです。

さて,問題の論文を探してみたわけですが,「ペトカウ効果」で検索すると「1972年に偶然放射性ナトリウム(22Na)を実験溶液中に加えてしまい,この効果を発見した」という逸話が紹介されています。と言うことで調べてみますと,該当しそうな論文は1972年にHealth Physics誌に発表された「Effect of 22Na+ on a Phospholipid Membrane」(Petkau, A. (1972). Health Physics, 22(3), 239.)ではないかと推測できました(実際に投稿されたのは1971年のようですが)ので,早速取り寄せて読んでみることにしました。

残念ながら,「偶然加えた」などという逸話は論文中には全く書かれておらず,それどころか「放射線の照射量と膜破砕の関係を詳細に定量的に観察できるようにこういう実験系を考えた」みたいなことが書かれています。また調べてみると,以前から22Naを使って膜浸透性の評価などをしたりしている(Petkau, A., & CHELACK, W. S. (1970). Biochim biophys acta, 203(1), 34–46.)ので,なんとなくその逸話の存在自体が一瞬怪しく思えてしまいましたが,偶然の結果でも最初から考えていたように記述したり,講演などで面白おかしく話をしたりするのは研究者の常でもありますので(ぉ その辺は軽くスルーするのが紳士的な態度というものでしょう。

さて,冗談はさておき中身を見てみましょう。

この論文のそもそもの目的は,放射線照射による細胞膜の破壊はどのような量的関係で進むのかを明らかにすることです。このような目的には,水解小体とも呼ばれるリソソームが実験対象として用いられたりしていたようですが,実験条件を整えることや観察が難しいため,その代替としてりん脂質二重膜が適用できるかどうかと言うことが実験の焦点になっています。りん脂質二重膜というのは,生体中に存在するりんを含んだ脂肪鎖が集合してできあがるもので,化学的な性質としては石けんなどを水に溶かした時にできるミセルと親戚くらいの関係にあり,細胞膜を構成する要素の一つでもあります。界面活� �剤をある一定量以上水に溶かすとミセルができるように,りん脂質のようなものをある一定以上の濃度で溶かすと脂質二重膜と呼ばれる薄い膜ができあがります。この時の構造が細胞膜とよく似ているため,膜により仕切られた二相(つまり細胞の中と外)間の物質移動の様子などを観察するためのモデル系として良く用いられています。

一般的に脂質二重膜を構成しやすくするために,ある一定以上の濃度の塩を共存させるのが一般的な実験条件です。ただし脂質二重膜は溶液のpHにも大きく依存しますので,塩化ナトリウム(食塩,NaCl)を加えることが多いのですが,そのNaとして放射性ナトリウム(22Na)を用い,脂質二重膜を安定化させる共存塩としての効果と,放射線を出す線源としての役割を同時に持たせようとしたのが� �この実験のミソです。

さて気になる実験の結果ですが,非放射性の塩化ナトリウムだけを共存させた場合には数日間破れることのない脂質二重膜ですが,22Naを加えることにより20~600分で膜が破れてしまいました。このことから,微量の放射線の存在は確かに脂質二重膜を破壊する効果を持つようです。

ただ,ここからが非常に問題なのですが,たとえばこちらのブログによると,(おそらく)この実験結果について「内部被爆の脅威」という書籍では「放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。」と紹介されているようなのですが,元の論文には「線量を増大させることにより膜の持続時間は短くなるが,照射線量と膜の持続時間の間には対数軸で比例� ��係がある。」という事しか書かれていません。

具体的に話をしましょう。この論文中で膜の持続時間(min)をy軸,照射量比(rad/min)をx軸した時の相関関係を表す式として「y=55.3x^-0.36」という式が提唱されています。この式にx=0.001を代入すると,664.8分という値が得られます。x=0.01だと290.2分。x=0.1だと126.7分x=1だと当然55.3分となりますので,確かに線量を1000倍にしたのに持続時間は1/10にしかなっていないので,低線量の方が影響が大きい!と思えてしまうのも確かです。しかし,この結果をヒトの健康影響,特に低線量被曝の健康影響と結びつけるには,避けて通ってはなら無いポイントがあります

まず第一のポイントは,今回の実験で与えられた線量の範囲です。

今回の実験では,22Naの放射壊変か ら生じるγ線とβ線について詳細な考察を行い,0.001 rad/min〜1 rad/minの範囲で放射線が膜に照射されたと計算されています。rad(ラド)とは古い放射線の吸収線量を示す単位ですので,現在のSIであるGyで表現してみましょう。すると1 rad = 0.01 Gyですので,今回の実験範囲は0.01 mGy/min〜10 mGy/minとなります。最近ではすっかりおなじみになったSv/hに,γ線として換算しますと0.6 mSv/h〜600 mSv/hとなり(β線の割合が高いとすると,さらに高い値になります)ます。

おわかりでしょうか。つまり,このペトカウ効果が検証されているのは,低線量とは言いつつも,現在首都圏で測定されている空間放射線量の1000倍以上高い領域での話なのです。

そして,第二のポイントは,これがいわゆる「試験管内(in vitro)で行われた実験であることです。

著者であるペトカウ氏はこの論文中でこのような現象が起きる原因として,放射照射により発生することが知られているスーパーオキシドアニオン(・O2-)の影響が大きいのではないかと考察し,後にこのスーパーオキシドアニオン(・O2-)を過酸化水素に変換する酵素 Superoxide dismutase(SOD)(もちろんヒトもSODを持っています)を共存させることにより,膜に対する放射線の影響を低く抑えることができること(Petkau, A., & CHELACK, W. (1976). BBA - Biomembranes, 433(3), 445–456.)や,SODを投与することでラットの骨髄から抽出されたマクロファージ前駆細胞がより高い線量のX線に耐えられること(Petkau, A., & CHELACK, W. S. (1984). Biochem biophys res commun, 119(3), 1089–1095.)などを報告(与えている線量は,最初の実験と同レベルかそれ以上)しています。

つまりどういうことかというと,確かに放射線の影響によりりん脂質二重膜は傷つけられる可能性があるが,それは放射線により直接破壊されているのではなく,放射線により発生したスーパーオキシドアニオン(・O2-)がりん脂質中の不飽和脂肪鎖を切断していること,そしてそのスーパーオキシドアニオン(・O2-)を除去し,放射線の影響を最小限に抑えるためのシステムが生体には備わっていることがすでに確かめられていると言うことになります。

ちなみに,氏がこの後どういう研究をしていたかも調べてみたのですが,ペトカウ氏はこの後,放射線医療による副作用をSODで抑えるための研究などを中心に進 めていたようです。というわけで,実はこのペトカウ氏は,低線量放射線が人体に多大な影響を与えるなんてことは何一つ言っていないんですね。

では,なぜこれほどまでにペトカウ効果が,低線量被爆の危険性を訴えるためのキーワードとして広まっているのでしょうか。

それは,どうやらErnst J. Sternglass博士と言う方が原因のようです。彼の主張についての詳しいところは,このリンク先を読んでいただければと思います。私自身もSternglass博士の論文を漁っては見たのですが,先ほどのリンク先で紹介されている1963年のScience(STERNGLASS, E. J. (1963). Science, 140, 1102–1104.)以外の論文を見つけることができず(引っかかってくるのは,講演要旨集や自著ばかりで査読のありそうな論文誌は見つけられませんでした。),どういうロジックでご自身の提案した学説とペトカウ氏の実験結果を組み合わせたかについては,残念ながら検証することができませんでした。

以上が今回の調査結果となります。個人的な感想を言わせていただければ,やはりいわゆる試験管内で人工的に作られた膜に対する実験結果をもって,修復機構の存在する人体への影響について言及するのはかなり無理があるように感じます。もし比較するとすれば,SODを添加した系での結果を考えるべきでしょう。なので,このペトカウ氏の研究結果をもって,「低線量被曝における健康影響」の根拠とするのは,かなり無理� �あるのではないかと感じました。

また,最初に話題に出た「ぶらぶら病」も,その症状が鬱病などと非常に酷似しているという点から考えても,放射線の影響と言うよりは他の方面からのアプローチ(もちろん「被曝した」という意識から来る非常に強いストレスも含めた)が必要なようにも感じています。

さて,事故後すでに3ヶ月を経過し,そろそろ収まりを見せてくるのではないかと期待していた放射線に対するパニックは,未だ終息する気配を見せておりません。それどころか,ますます加速する勢いすら見せています。


幼児が便秘を持っている

確かに雨樋の出口や側溝の中にたまった汚泥など,近辺に存在していた放射性物質(主にセシウムと思われます)を洗い流して集積されているようなところに積極的に近づくことは避けた方が良いかと思いますが,福島の退避勧告地域近傍以外であれば,これからの季節は太陽から送られてくる放射線の方が強くなってくる位だと思います。

また,簡易型の放射線測定器を用いて日常的に測定をしている方々も増えているようですが,現在の低い線量領域でははっきり言って簡易型の測定器が示す絶対値を信用するのは無理です。現在の放射線量領域を絶対値として正確に計るためには,シンチレーション型の大型測定器を使わないと無理です。そもそもmSv/hオーダ ーの領域で,±5%〜20%などという精度でしか構成されていないGM型や半導体型の簡易測定器では,せいぜい事故前の値と比較して相対値として大きいか少ないかくらいしかわかりません。

人体は,長年の進化の過程において放射線についてはそれなりの耐性を獲得しています。また饑餓のように人類が産まれた時から常に襲われ続けてきた原始的なストレスにも比較的対応することができるようになっています。しかし,残念ながら近代において著しく増大している精神的なストレスや栄養の過剰摂取などに対応することは,まだできていません。

だいぶ前にも書きましたが,世界には日本の10倍以上高い自然放射線を持つ地域があります(イランのラムサール地方では,平均で10 mSv/年,最高で260 mSv/年)が,その地域に住んでいる人たちを調査してもガンや白血病,奇形児の出産率,遺伝子の異常などに有意差はありません。

現状では,少なくとも首都圏においては福島第一原発から漏れた放射性物質による放射線の影響よりも,それを気にしすぎて貯め込んだストレスの方が健康に悪影響を及ぼすのではないかと思っています。

やはり,気にしなければいけないところ(先ほどの雨樋の出口や貯まった汚泥など)と,気にしなくても良いところ(抜き取り検査済の牛乳や農作物,首都圏の環境放射線)の区別をきちんとした上で,正しく対応することが必要だと思います。

いつものように長くなりましたが,今回のところはとりあえずこの辺で。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

科学的かつ物証を持っての検証、わかりやすくて良かったです。
ここ最近の放射性物質騒ぎが煩わしくていらいらしていたのですが、すっきり致しました。

というより、騒ぐ前に科学的に検証すればいいのにと思うのです。

2011-06-19 日 20:50:49 | URL | たまを [編集]
いつも参考にさせていただいております。

震災以降、「低線量でも危ない」という話はよく見かけるのですが、「低線量」とは、どの程度からが「低線量」なんでしょう?

講談社ブルーバックスの「人は放射線になぜ弱いか」(近藤宗平)の第3版を読んだ際に、「100ラド以下の低線量域」(P71)という表現が気になりました。
近藤氏はホルミシス仮説を支持しているようなので、一概にこの記述がスタンダードとは言えないとは思いますが、100ラド=1グレイですよね?
原爆による被ばく者についての記述なのですが、sv換算するとどのくらいになるのかは分かりません。
しかし、今騒いでいる「低線量でも危ない」の「低線量」とはかなり差があるように思います。
「低線量でも危険」という内容の研究でいうところの「低線量」とは、いったいどのぐらいの値なのか、よろしければご教示いただければと思います。

2011-06-20 月 16:08:24 | URL | トリガー [編集]

前半は内部被曝についての話なのに、後半で外部被曝に話をすり替えているように読めます。私はそのような誘導的な文章は警戒すべきだと考えます。

2011-06-21 火 11:25:38 | URL | 匿名希望 [編集]
ご質問ありがとうございます。

> 震災以降、「低線量でも危ない」という話はよく見かけるのですが、「低線量」とは、どの程度からが「低線量」なんでしょう?

「低線量」という言葉の定義は確かに分野ごとに大きく異なるものですが,放射線事故などの話をする場合には,その事故を原因としたトータルの被曝として100 mSv以下の場合を低線量被曝として分類していると思います。放射線ホルミシス効果(ホルミシス効果だけだと,放射線に限らないもう少し広い意味になってしまいます)についても,その辺りが境目になっていたように記憶しています。

> しかし、今騒いでいる「低線量でも危ない」の「低線量」とはかなり差があるように思います。
> 「低線量でも危険」という内容の研究でいうところの「低線量」とは、いったいどのぐらいの値なのか、よろしければご教示いただければと思います。

ネット上でのご意見を散見すると,どうも1 mSv/年 前後の被曝からすでに「危険な低線量被曝」と考えている方が多いようですが,個人的にはその辺りの領域はもはや「実質的にゼロに等しい無害な超微量線量被曝」と言っても良いのじゃないかと思っています。

2011-06-21 火 12:41:25 | URL | ぷろどおむ [編集]
コメントありがとうございます。

文章が拙くわかりにくいために,誤解を与えてしまい申し訳ありませんでした。
今回の話については,明確な区別をしておりませんが,基本的に外部被曝しか念頭に置いておりません。
特に前半部分は生体とは無関係な試験管内での実験の話ですし,すべて放射線の与える得エネルギー量の関数としてしか話をしておりませんので,内部被曝と外部被曝の区別は無関係です。

> 前半は内部被曝についての話なのに、後半で外部被曝に話をすり替えているように読めます。私はそのような誘導的な文章は警戒すべきだと考えます。

2011-06-21 火 12:45:29 | URL | ぷろどおむ [編集]

化学屋と自称するだけあって、元文献を取り寄せて解読するなど細かな作業をされていますね。
で、結論としては、今の空間線量や食物からうける内部被曝の人体に対する影響は、化学屋が好きな有意差検定では有意差が出ないことは軽く想像がつきます。
ならば、ストレスの方が健康に悪影響を及ぼすことを心配するより、年1mSVのような低線量でも健康に害があるかもしれないと心配してください。
あ、それと自然界に存在する放射性物質と人間が作りだした放射性物質のエネルギーがどれだけ違うかご存知ですか?

2011-06-22 水 13:52:38 | URL | ももんが [編集]
はじめまして。

大学で生化学/細胞生物学をやっている者です。

ペトカウ効果の本当のところを探していたので大変参考になりました。

ネット上では、線源を細胞膜に間違って落としたところ(それが固体なのか液体なのか不明)、細胞膜が破裂したという流れで危険性を言っていますが、まぁ、それだけの条件ならばコントロールが足りません。膜ならば浸透圧の問題だとかetcの条件で壊れますから‥。

てっきり、コントロール実験が足りませんでしたというオチがつく話かと思っていたのですが、しっかりした実験だったようですね。

ペトカウ氏に失礼をしてしまいました!

思うに、ペトカウ実験がある意味誤解されて広まっているのは、国民の大多数は「サイエンスが苦手」だからなのかも知れませんね。

タイトルだけ読んでわかったつもりになるか、途中で読むのを放棄して考えるのもやめるか‥。そもそもサイエンスを理解しようとしないのか‥。

実に良い記事でした。

2011-07-05 火 11:47:48 | URL | ぼるじあ [編集]

ペトカウ理論の検証は、とても参考になりました。一番納得したのは、この理論はin Vitro だったということです。でも、僕はさらに内部被曝の害を疑います。そして、逆に食生活やメンタル面での対応が、内部被曝に対抗する手段になり得ると思います。有害な人工物質による体内汚染は、放射性核種だけではないはずです。だから、ヒステリックに放射能だけを怖がることには疑問を呈しますが、効率性や経済性を優先させるために人工的につくられた毒性のある物質全般に対して、注意を払い、自然な生活技術で解毒していくことを目指したいと思います。

2011-07-10 日 14:11:16 | URL | edoeco [編集]
ペトカウ氏はカナダ原子力公社のホワイトシェル研究所で、医学・生物・物理学主任を20年もやったひとです。大学では物理学を専攻、その後イェール大学で医学部博士課程終了後も奨学生として訓練を受けた非常に優秀な人です。

確かに1971-72年の初めの論文では、低線量といっても比較的光線量で実験しましたが、ペトカウは全部で92の論文を書いており、なかには自然放射線レベルでやったものもあります。

ペトカウはまた、白血球の細胞膜に対する被曝効果、そしてさらには被曝労働者に対する研究も行っていました。

ところが、被曝労働者の研究途中で彼が主任をしていた研究所が閉鎖され、放射線防護研究に戻ることができなくなり、その後20年は地元の医師として働きました。(政治的なものが絡んでいたのではないかと疑われています。)

ペトカウの論文は、「人間と環境への低レベル放射能の脅威」に引用されているとおり、多くの国における多くの研究者が引用したり、発展させたりしています。

ちなみに、「人間と環境への低レベル放射能の脅威」著者のグロイブも化学屋で、いままで本書に対する科学的な反証はなされたことがない、と亡くなる前年のインタビューで話しています。是非、本書の全体をきちんと読んでいただければと思います。


5 HTPおよび産後うつ病

さて、原子力・核政策推進側から、「とんでも」といわれ続けたスターングラス博士。彼が本格的に低線量被曝の危険性を訴える以前、実は原子力の2大企業であったウェスティングハウス社で月面基地計画の指導的地位にあるほど、優秀な科学者であったことはあまり知られていません。低線量のX線診断装置を開発もした方でもあります。

なにより、スターングラス博士の科学性を知るには、彼の書いた著書も読む必要があります。「赤ん坊をおそう放射能」はまだ絶版になっていません。(この本は非常に緻密な本です。ちなみにノーベル医学・生理学賞受賞者ジョージ・ウォールドが推薦の言葉の序章を書いています)

これを読んでから、批評してください。この本は非常に緻密で科学的な名著ですし、スターングラスが、いかに原子力産業の影響の及んでいるメインストリームの科学誌に査読をへた論文を出すのが困難であったかという政治的な側面もよく描き出されています。

またスリーマイル島事故のデータの改ざん事件や、後に報道機関にばれた当局によるごまかしなども興味深い書物です。どうか推進側のとんでもだ、というデマに流されませんように。ご自分の目で確かめてから真実を見極めていただくことをお願いいたします。

また放射能の危険性の問題は健康や命が掛かった問題ですから、「そんなに危険でない」という情報で、今後子供たちの健康への実害を増やさないように、どうか責任ある情報発信をお願いいたします。

最後に、グロイブやスターングラス氏等、多大な労力と時間を使って本書を著した人びと、彼らの努力に及ばずながらもそれなりに苦労して翻訳した肥田舜太郎氏や私の気持ちも多少は察していただいてから、責任ある批評をしていただけると、大変ありがたいと感じております。

竹野内真理
(「人間と環境への低レベル放射能の脅威」翻訳者のひとりより)

2011-07-31 日 23:29:32 | URL | 竹野内真理 [編集]

私はこの度の原発事故での放射線に対する考え方で、専門家と言われる方々のあまりの違いに驚きを覚えたと同時に、しかしそれを冷静に見れば、放射線、特に低線量放射線被ばくでの健康に与える影響は結局のところ「わからない」と言う事だと言う事だけはわかりました。また、人は黒か白か「わからない」とかえって不安に陥る生き物なんだ、と言う事も分かりました。しかし、実際には、その影響が「わからない」にも拘らず、一方の側の考え方に偏った対策をしているのは、あまりにも非科学的とも思っています。その非科学的な理由での避難により、我が故郷「飯舘村」は消滅の危機に直面しています。非常に悔しい思いをしています。氏の考えが今後マスコミに出ることを期待しています。

2011-08-01 月 13:28:51 | URL | 福ちゃん牛乳 [編集]

たいへん、参考になり、考えさせられる記事でした。自分なりに考えたことをトラックバックしました。

2011-08-05 金 01:52:46 | URL | kusukusu [編集]
翻訳者の竹野内です。

どうもこの問題になると、とても熱くなってしまうので、失礼してしまったかしらと思っていたのですが、私の投稿に好意的な反応を頂き、嬉しく思います。

私は翻訳をすると同時に、一人の母親として、とにかく子供を守りたいという強い思いがあります。

低線量被曝に関しては、海外にその危険性を知らせる研究が多数ありますので(特にECRRの報告書をご覧になれば、さまざまな国で、特に近年ではチェルノブイリ研究も多い)、それを参考にし、日本の子供の健康を守らねばならないと考えています。

ついでながら、セシウムとストロンチウムの毒性について、「人間と環境への低レベル放射能の脅威」と「赤ん坊をおそう放射能」および、ゴメリ医科大学元学長、バンダジェフスキー博士の研究『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響』から、要約抜粋してこちらに掲載させていただきます。

日本においては、核種の毒性について、まったく詳しく報道されない中、非常に重大な内容を含んでおり、私は早速日本医師会や福島県知事にメールを出しました。どうぞ皆さんも広めてください。

とにかく子供の命と健康を守りたいし、今守らねば、手遅れになってしまいます。

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最近、セシウムの毒性に関する大変重要な冊子が、が茨城大学名誉教授久保田護氏により翻訳、自費出版されました。元ゴメリ医大学長、バンダジェフスキー博士の『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響―チェルノブイリの教訓 セシウム137による内臓の病変と対策―』です。(一冊1000円。注文先:電話・FAX0294-36-2104)食物中のセシウム摂取による内部被曝の研究がほとんどない中、バンダジェフスキー博士は、大学病院で死亡した患者を解剖し、心臓、腎臓、肝臓などに蓄積したセシウム137の量と臓器の細胞組織の変化との環境を調べ、体内のセシウム137による被曝は低線量でも危険との結論に達しました。以下に要点をまとめます。

体全体への影響
* セシウム137の体内における慢性被曝により、細胞の発育と活力プロセスがゆがめられ、体内器官(心臓、肝臓、腎臓)の不調の原因になる。
* 大抵いくつかの器官が同時に放射線の毒作用を受け、代謝機能不全を引き起こす。
* セシウムの濃度に応じて、活力機構の破壊、たんぱく質の破壊が導かれ、組織発育が阻害される。
* セシウムの影響による体の病理変化は、合併症状を示し、長寿命体内放射能症候群(SLIR)といわれる。SLIRは、セシウムが体内に入ったときに現れ、その程度は入った量と時間とに相関する。
* SLIRは、欠陥、内分泌、免疫、生殖、消化、排尿、胆汁の系における組織的機能変化で明らかになっている。
* SLIRを引き起こすセシウムの量は、年齢、性別、系の機能の状態に依存するが、体内放射能レベルが50Bq/kg以上の子供は機関や系にかなりの病理変化を持っていた。心筋における代謝不調は20Bq/kgで記録された。
* 汚染地帯、非汚染地帯の双方で、わずかな量の体内セシウムであっても、心臓、肝臓、腎臓をはじめとする生命維持に必要な器官への毒性効果が見られる。

心臓への影響
* 生命維持に必要な多くの系で乱れが生じるが、その最初は心臓血管系である。心筋のように、細胞増殖が無視できるかまったくない器官や組織は、代謝プロセスや膜細胞組織に大きな影響が生じるため、最大の損傷を受ける
* ミンスクの子供は20Bq/kg以上のセシウム137濃度を持ち、85%が心電図に病理変化を記録している。
* ミンスクの子供で、まれに体内放射能が認められない場合もあるが、その25%に心電図変化がある。このように濃度が低くても、心筋に重大な代謝変化を起こすのに十分である。

血管系への影響
* 血管系が侵され、高血圧が幼児期からも見られることがある。
* セシウムは血管壁の抗血栓活性を減退させる。
* 血管系の病理学的変化は、脳、心臓、腎臓、その他の機関の細胞の破壊を導く。
* 体内のセシウム濃度の高い子供の間で、白血球の数の減少が見られた。最初に減ったのがバチルス核好中球と単球であり、同時にリンパ球の数が増大した。
* 動物実験では、絶対的赤血球数と相対的核好中白血球の数の減少が起きた。
* 40キュリー/km2以上の地域から汚染の少ない地域に移住した子供の骨髄球の生理状態が回復したことは注目に値する。

腎臓への影響
* セシウムは腎臓機能を破壊し、他の器官への毒作用や動脈高血圧をもたらす。ゴメリにおける突然死の89%が腎臓破壊を伴っている。
* 腎臓もセシウムの影響を強く受けるが、放射線による腎臓の症状は特徴がある。また病気の進行が早く、悪性の動脈高血圧がしばしば急速に進む。2-3年すると、腎臓の損傷は慢性腎機能不全、脳と心臓との合併症、ハイパーニトロゲンミアを進展させる。

肝臓への影響
* 肝臓においては、胎児肝臓病や肝硬変のような厳しい病理学的プロセスが導かれる。
* 免疫系の損傷により、汚染地ではウィルス性肝炎が増大し、肝臓の機能不全と肝臓ガンの原因となっている。

甲状腺への影響
* セシウムは、甲状腺異常にヨウ素との相乗関係を持って寄与し、自己免疫甲状腺炎や甲状腺ガンの原因となる。

母体と胎児への影響
* セシウムは女性の生殖系の内分泌系機能の乱れをもたらし、不妊の重要因子となりえる。また、妊婦と胎児両方でホルモンの不調の原因となる。
* 月経サイクルの不調、子宮筋腫、性器の炎症も見られる。
* 母乳を通じ、母体は汚染が低くなるが、子供にセシウム汚染は移行する。多くの系がこの時期に作られるので、子供の体に悪影響を与える。
* 1998年のゴメリ州での死亡率は14%に達したが、出生率は9%(発育不全と先天的障害者含む)だった。妊娠初期における胎児の死亡率がかなり高かった。
* セシウムは胎児の肝臓病を引き起こし、その場合胎児は肝臓に限らず、前進の代謝の乱れが生じる。

免疫系への影響
* 免疫不全により、結核が増加している。
* 免疫系の障害が、体内放射能に起因することは、中性白血球の食作用能力の減退で証明されている。

神経系への影響
* 神経系は体内放射能に真っ先に反応する。脳の各部位、特に大脳半球に影響を及ぼし、さまざまな発育不良に反映される。
* 生命維持に不可欠なアミンや神経に作用するアミノ酸の内部被曝による変動は外部被曝と比べ、顕著である。
* セシウム137の体内量と自律神経系の機能障害は相関する。
* 動物実験で発情期のメスに神経反応の組織障害が起こる。
* ウクライナの学者は、大脳の差半球で辺縁系小胞体組織の異常があると述べている。

消化器系
* セシウムが体内に長期間は言っている子供に、慢性胃腸病を引き起こす。


視覚器官
* ベトカとスベチロビッチ(15―40キュリー/km2)に住んでいる子供では、子供の視覚器官の変化はそれぞれ93.4%と94.6%だった。
* 白内障発生率とセシウム137の量に明白な正比例関係が見られた。

相乗作用
* セシウムの影響は、ニコチン、アルコール、ハイポダイナミアと相乗して憎悪される。

男女差
* セシウムは男性により多く取り込まれやすく、女性より男性により強い影響が出ており、より多くのガン、心臓血管不調、寿命の低下が見られる。

疫学調査
* 1976年と1995年のベラルーシの比較。悪性の腎臓腫瘍が男4倍以上、女2.8倍以上。悪性膀胱腫瘍が男2倍以上、女1.9倍以上。悪性甲状線腫瘍が男3.4倍以上 女5.6倍以上。悪性結腸腫瘍は男女とも2.1倍以上。
* ゴメリ州では腎臓ガンは男5倍、女3.76倍。甲状線ガンは男5倍、女10倍となった。

セシウム排出製剤
* セシウムの排出に、カリエイ土を加えたペクチン製剤のペクトパルは最も将来性がある製剤のひとつだが、セシウムが人体に入るのを防ぐほうが、それを排出したり乱れた代謝を正常にするより容易なことを心に留めるべきである。

ストロンチウムの毒性について

ストロンチウム90が福島原発から80kmはなれたところで検出されたというニュースをNHKで4月の中ごろ聞きました。その後報道されないので、ずっと気になっていました。ストロンチウム90は、その昔、レイチェル・カーソンが化学物質とともに「邪悪な相棒」と称した物質で、核実験が行われていたときは、その有害性のために世界各国で研究が行われていた、大変危険な物質です。

以下にストロンチウム90の特徴を記します。

(グロイブ著『人間と環境への低レベル放射能の脅威』と2006年スターングラス博士インタビュー

*ストロンチウムはミルクや穀物の外殻に蓄積されやすい。(両方とも基本となる食物なので始末が悪い。ちなみに1963年、ドイツでは黒パンの流通を禁止することを考慮)

*カルシウムに似た親骨性の物質であり、ベータ線を放出する。ベータ線はアルファ線より飛距離があり、骨髄により効率的に到達してしまう。ストロンチウム90は、骨髄で作られる白血球の正常な機能を阻害するため、ガンや免疫低下、免疫低下に起因する感染症、肺炎などを引き起こす。

*1968年、オスロー大学のストッケらは、ストロンチウム90を与えた動物実験で、わずか0.01ミリグレイ(ミリシーベルト)であっても、高度な骨髄細胞への障害を観察した。また、0.1-1ミリシーベルトのストロンチウム90でも動物実験で、骨髄の減衰が見られた。

*あまり知られていないが、カルシウムは神経の伝達にもかかせない物質であるため、ストロンチウムは脳にも入り込み、神経にダメージを与えるため、脳の発達に支障をきたすようになる。

*ストロンチウム、トリチウム、ヨウ素などは吸引または摂取されて体のある機関に濃縮されると、体が非活性化できるよりずっと多くの活性酸素を発生させてしまう。

*低体重児の出生率と人体中のストロンチウム90の濃度は大きな相関関係がある。また、妊娠の何年も前から蓄積されたストロンチウム90により、流産の危険性が高まる。

*ストロンチウムの娘核種のイットリウムは脳下垂体に蓄積するが、出産前の2-3週間にこれが起こると、肺胞に必要な脂質の生成が不十分になり、胎児の肺機能の成長を阻害し、出産後に見かけはなんら異常のない赤ん坊が呼吸器系疾患で死亡するケースがある。

*ストロンチウムの娘核種であるイットリウムは、すい臓にも集中し、糖尿病やすい臓がんの原因になる。

2011-08-05 金 13:59:32 | URL | 竹野内真理 [編集]

宣伝はよそでやるがいいです

2011-08-05 金 19:10:06 | URL | ペと川 [編集]
ぺと川様

「宣伝はよそでやるがいいです」、というお言葉、どういう意味だか理解しかねています。

あなたは今日本で何が起きているのか、わかっているのですか?

セシウムやストロンチウム汚染が実際に日本で起きているのですよ。

そしてこれらの毒性についての真実が伝わっていない現状があり、今後すべての人にかかわる非常に大事な健康問題に直結した問題です。特に子供たちが危険にさらされているのです。

私はありとあらゆるメディアを通じて、この危険性を訴えます。そうでなければ、国家の無作為による過失を見逃し、多くの人たちが病気になる(または免疫力の低い人、放射線に脆弱な人は死にいたる)のを何もせずに待つことになってしまいます。

ところであなたは、どういう神経で、このようなコメントされるのでしょうか?

私は、このコメントに満身の怒りをもって抗議します。

あなたはこの期に及んでも、子供たちの将来を犠牲にしながら、原子力産業関連利権の擁護をしようと画策していらっしゃるのでしょうか?

上の非常識を超えた、あなたのこのコメントを、私が参加させて貰っている数々のネットコミュニティーの皆さんにも紹介させていただくつもりです。

竹野内真理拝

2011-08-05 金 22:12:23 | URL | 竹野内真理 [編集]
ああ図星でしたか。

ぷろどおむさんに記事「低線量放射線の健康影響をどう考えるか」で一次情報の提示を求められているのに査読付き学術論文のひとつも提示できない上に、ほとんど全否定に近い疑義を受けているのにそれはスルーして定量性皆無のコピペを貼ってるんですからそうだろうとは思いましたです。

子供を人質にしたレッテルで議論をすっとばそうという試みも赤面ものです。

2011-08-05 金 23:19:12 | URL | ぺと川 [編集]
ペと川さん、コメントありがとうございます。
と言いたいところなのですが、ペと川さんにもブログ管理者として一言お願いいたします。

先ほど竹野内さんにもコメントさせていただいたのですが、できればこのブログは建設的な議論を行う場としてご利用いただければと思っております。

そういう場としてご利用いただけるのであれば、いくらでもご利用いただいて結構なのですが、非建設的な罵倒合戦や脅迫合戦みたいなものになるのであれば、ご自重いただきたいというのが管理者としてのお願いです。

どうかよろしくご協力いただけますようお願い致します。

2011-08-05 金 23:38:46 | URL | ぷろどおむ [編集]
管理人のぷろどおむさん、どうもありがとうございます。

大人のご対応をしていただき、感謝いたします。

ぺと川さんにもかっかとなってしまい、すみませんでした。

そうですね、是非建設的な議論をしてまいりましょう。

竹野内真理拝

2011-08-06 土 05:33:12 | URL | 竹野内真理 [編集]
貴方は様々な被曝犠牲者の文献を読んでますか?
チェルノブイリ、広島、自分がなんで体が動かないのか解らないまま働けなくなっている

ぶらぶら病を知らないけど症状だけみると被曝したというショックからだと勝手に結論していますが、そんな自覚が無い人が大半です
肥田先生の本やチェルノブイリのドキュメントでも見たらどうですか?
全くうつ病とは違います

普通に働けなくなっていて、この症状は細胞の老化が考えられます。

知らない事を知ったかぶって結論を出すのはやめましょう
また自分の意図で解釈を勝手に変えるのも卑怯ですね

2011-08-26 金 23:20:49 | URL | 匿名希望 [編集]
本人が直接被爆者の惨事を目の当たりにしてなくてもあとから広島に入った人、またチェルノブイリがどんだけ危険か全く知らないで普通に過ごしていた人にも症状は出ています
毎日普通に働いていた人達に…(特にチェルノブイリは報道規制のせいで風下にいた人達はどういう状況か全く知らない)

全く働けない。立つことさえ辛い30分で疲れる。ちょっと畑仕事していて死ぬ。
それがうつ病ですか?

勝手な屁理屈はやめて下さい

また、低線被曝による被害は立証する以前に現実に起きている事であり
ペトカウ効果を否定するなら逆に他の実験により低線被曝の影響を立証する責務もあると思います

そんなもん認めねという否定は簡単ですからね

例えばビキニ諸島での実験後、アイリングナエ、ロンゲラ ップ、ウトリックの三島の人達はなんも知らずに死の灰を浴びた

住民達は次々と障害が現れ死者も出た。
1970年代にはマーシャル群島のウォトジェ島でも晩年性障害や奇形児が増えた

もっと解りやすい例をあげたらフランスのムルロア環礁やアメリカのビキニ環礁、アメリカのネバダ、ソ連のセミパラチンクス、ノバヤ・ゼムリダ全部風下である

これらの地域で起こった変化を説明すべきだと思います

当時も自然放射線量より少ないと言っていたのに実際は核実験の影響を受ける比較してガン発生率が倍になった

blog作成者のいう低線被曝に危険性が無いとする根拠は全くない
逆に現実逃避理論と名付けてあげたいくらいです

現実をみましょう


2011-08-27 土 00:06:58 | URL | 匿名希望 [編集]

blog主さんのペトカウ論文(1972)解説は非常に参考になりました。私は1972年の論文が入手できず、それ以降のSOD関連論文は幾つか読んで見ましたが、blog主さんと同じ意見です。学会等でも招待講演に招かれていたようですね。彼の研究所は複数の原子炉を有する大きな研究所だったようですが、老朽化のために閉鎖になったようです。ペトカウ氏の部署もそのあおりを食らったようです。ペトカウ氏はそのとき60才、ちょうどリタイアの時期ですね。現役でも管理職者クラス。その後病院で20年も働かれたのは第2の人生でしょうか。
 さて、「ぶらぶら病」に関しては肥田先生所属の被団協の聞き取り調査で「回答者総数の3分の1に当たる1143人があったと回答している。ぶらぶら病があったと回答した人の84%の人が急性症状があったと回答した人であった。」とあります。放射線障害の自覚症状は、1Sv浴びたときの放射線宿酔からですから、「ぶらぶら病」にかかった人は1Sv以上の被ばくをしたと考えて良いのではないでしょうか?匿名希望さんご指摘のチェルノブイリやビキニの風下の人々の描写は、被ばく状況・症状ともに典型的な高線量被ばくの症状と思われます。このようなことから、「ぶらぶら病」はれっきとした放射線障害であり、「うつ」のたぐいではない気がします。しかし、低線量被ばくで起こるようなものでもなさそうですね。福� �や東京でそんな症状が起きているならば、それこそ震災、事故のショックによる「うつ」でしょう。

2011-09-01 木 22:03:45 | URL | 通りすがり [編集]

通りすがりさんが言わんとしていることは分かるが、実際、いわゆる「ぶらぶら病」で悩んでいる人達で、原爆の爆心地から遠距離にいたり、原爆投下後、何日もたってから入市被爆したという人達が、「ぶらぶら病」を訴えていても、国は状況からその人はそれほどの被爆をしていると思われない、だからその症状は原爆の影響によるものではないとずっと認めてくれなくて、それでそういう人達が原爆症認定訴訟の裁判の原告に加わったりしているわけですね。そういう人達からすると、通りすがりさんのように、あっさり、「「ぶらぶら病」にかかった人は1Sv以上の被ばくをしたと考えて良いのではないでしょうか?」などと言われてしまうのはどうかと思うんですが。そのように、それだけの被爆をしているということを国が認� ��てくれないから、原爆症と認められずに、裁判の原告になったりしているんですよ。もちろん、原爆の放射線量は実際にどれだけだったのかは正確には分からないところがあるのです。実際にはその人達は1Sv以上の被爆をしていたのかもしれません。しかし、国はそのことを認めなくて、多くの「ぶらぶら病」の人達を、それは原爆による症状ではないとずっと認めなかったんですよ。もし、低線量被曝の考え方が違うのであり、1Sv以上の被爆をしたから「ぶらぶら病」になったのだということなら、一層、その「ぶらぶら病」の人達を、その症状は被爆によるものではないと長い間、認めてこなかった国はなんなんだということになりませんか。

2011-09-09 金 04:44:04 | URL | kusukusu [編集]
竹野内真理様
ブログ主のぷろどうむ氏の見解について、どこに錯誤があるのか御指摘なさっていません。

>ペトカウの論文は、「人間と環境への低レベル放射能の脅威」に引用されているとおり、多くの国における多くの研究者が引用したり、発展させたりしています。

問題は、どのように引用されているかです。否定する場合にも引用されます。竹之内様が思っていらっしゃる通りに引用されているのでしょうか?また、「多くの研究者が引用」ということですが、「多く」とは、何人くらいなのでしょうか?

>グロイブ氏の書籍の紹介ではなく、グロイブが「ペトカウ効果」をどのように考察し、どのように評価したのかを紹介する方が大切ではないでしょうか?

>スターングラス氏の書籍を読む必要があるとのことですが、どうしてでしょうか?
氏の書籍に「メインストリームの科学誌に査読をへた論文を出すのが困難であったかという政治的な側面」が書いてあるそうですが、雑誌に掲載されなかったのは、本当に政治的な問題でしょうか?論文をアクセプトする前に、世界中のレフリー(審査員)に審査されます。一流紙になればなるほど、世界の一流の学者に査読されるのです。政治的な要請によって却下されれば、その雑誌の信頼は失われ、その雑誌に関わっている科学者の信頼も失墜するのですよ。「軽々に政治的な側面でアクセプトされなかった」などと言うのは、どうかしていると思います。

大切な事は、「ペトカウ効果」が、世界の学者の間でどのように論評され、評価されているかではないでしょうか?科学的な証拠が積み重なれば、認知されます。認知されないのは、科学的な証拠が積み重なっていかないからでしょう。

ぷろどおむ様
今回の記事は、友人の紹介で知りました。貴重な記事を書いて下さり、どうもありがとうございました。

2011-10-07 金 09:39:06 | URL | 丸井 [編集]
ペトカワ効果について、詳しい解説をありがとうございます。
過去の記事もいくつか読ませていただきました!本当に自分の頭の出来が残念でならないのですが、計算式と英文のところは暗号として読み飛ばしているような状況です・・・。それでも、読み取れた部分だけでもかなり参考になりました。ありがとうございます!
いつかきちんと全分を理解できる日が来るといいのですが。

ところで、図々しいのですがいくつか質問させていただいてもいいでしょうか?

1・ペトカワ氏の実験は、関東圏の空間線量の1,000倍高い領域で得られた結果とありますが、1,000分の1の線量下では今回の実験のような結果は出ない、ということでしょうか?(もっと低い線量で実験した人がいるが、違う結果が出た、等)

2・生体には生まれつき放射性物質に対する耐性がある、ということですが1回の照射ではO.K.でも連続して浴び続けたらアウト、とか処理が追いつかない、ということはあるんでしょうか。例えあったとしても、現在の線量なら問題ない、という理解で大丈夫でしょうか。「細胞分裂が盛んな子どもはリスクが高い」と聞いているので、大人は大丈夫でも子供は危ないのかもしれないと心配です。

3・ある方が比喩として「外部被曝が外から一回銃に撃たれる位のダメージとすると、内部被曝は代謝されるか半減期で減るまで内側から一秒間に1回ずっと撃たれ続ける状態」と説明していました。内部被曝だと、放射性物質が消えるまでずっとダメージを受け続ける、という理解は間違っていますか?

4・ペトカワ氏の「放射線医療による副作用をSODで抑えるための研究」等から、有効な栄養素はコレ、みたいに日常生活で活用できるような放射能防御の知恵はありますか?自分で放射能防御の知恵・・・みたいに調べると、EM菌とか健康食品屋がヒットしてしまって信用していい情報なのか困惑しています。(EM菌は胡散臭い、と感じています)

最近まで「放射能コワイ、福島は人間が住むところじゃない」というスタンスの情報ばかり追いかけていました。最近になって「放射能コワイ派」の論の偏りというか、不自然さが目に付くようになってきました。目を覚ますべきところは覚まして、認識を改めていきたいと思います。
お忙しいところ大変恐縮ですが、お時間のある時にでもお答えいただけると嬉しいです。


2011-10-07 金 16:08:48 | URL | スルガ [編集]
私は、ラジエ工業と言って医療機器などの放射線滅菌サービスをしている会社の役員をやっています。放射線を生業とする者の一人として、今回の事故の放射線の人体影響を正しく科学的に理解しようとしている者です。たまたまペトカウ効果を調べていて、このブログに辿り着き、管理者のぷろどおむさんが非常に科学的に冷静に見ようとする態度に共感しましたので、私も意見を述べたいと思い、投稿しました。

1.ペトカウ効果については、生体で起こっていることを証明する研究があるのでしょうか。試験管の結果から人への影響を類推するのは科学的には飛躍がありすぎると思います。
2.竹野内さんが紹介したセシウム内部被爆については、客観的な科学論文を紹介していただけることを願っています。放射線については色々な思惑が交差して、本当のことが見え難くなっていると感じるものですから、事実だけを知りたいと思っています。
3.原爆被爆者の調査結果はICRP勧告の基礎にもなっているものですが、100mSv前後や以下の真実を知りたくて、放射線影響研究所のホームページから基礎データベースをダウンロードして自分で分析してみました。実際には公開されている図表よりももっと細かい線量区分で調査されていて、公開されているデータはその幾つかの線量区分を足し合わせていることが分かりました。この足し合わせ方とコントロールの取り方によって、国立がん研究センターで公開しているような100mSv未満はゼロリスクになったり、ICRPの言うように0.5%くらいになったりします。もう一つ気付いたことは、公開データでは3つのコントロール集団を使っています。1つは爆心地から3km以遠10kmまでに居た人(自然放射線レベル)、2つ目は� ��爆投下後に広島に移り住んだ人、3つ目は3km以内でも被ばく線量が5mGy以下の集団です。驚いたことに、5mGy以下は影響なしとして扱っているのです。これは知りませんでした。そこで私は何の足し合わせもしないで元の線量区分のまま相対リスクを計算してみると、60mGyまではリスクが1以下になり、80から100mGyではわずかにリスクが1を越すことが分かりました。リスクが1以下になる線量(解釈によっては、ホルミシス効果があるとも言えますが)があるなんて思っても見ませんでした。これが私の解析結果で、まだ誰にも話していませんが、なぜ専門家は語ってくれないのだろうかと思っています。



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1 コメント:

山田 豊 さんのコメント...

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http://goo.gl/gJaU6
こんにちは。それにしても、このようなことが理解されれば、遅々として進まない、瓦礫の処理がもっと進むと思います。似たような調査結果は、すでに、1990年代にアメリカでだされており、2000年代に入ってからは、専門家の意見もかなり変わってきていました。それどころか、低線量の放射線は、体に良いという「ホルミンス効果」なども指摘されていました。こうした情報が日本で顧みられないのは、なぜでしょうか?石油メジャーとか、電力、天然ガスを日本にも売りたいと考えているロシアの影響もあるのでしょうか?とにかく、みえないももの恐怖にさいなまされて、真実を見失うことだけは、避けたいものです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。

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