2012年5月15日火曜日

娘が“拒食症”です。どうしたら治るのでしょうか?


拒食症は過食症と同じ"摂食障害"の一種で、精神疾患です。極度の栄養不良・体重減少により、月経停止・骨量の低下・低血圧・徐脈・不眠・うつ・無気力などの症状をともない、最悪の場合は生命に関わる(*精神疾患の中では致死率が高い)ことから三大成人病に匹敵するほど厄介な病気と言えます。

大半の家庭では拒食症の子供に無理やり物を食べさせようとしますが、拒食症は心の病気である以上、身体的な症状だけを解消しようとしても根本的には解決しません。何度も同じ症状を繰り返したり、過食症へと病状が変化していくケースも多く見られ ます。摂食障害の既往歴のある女性を対象としたスウェーデンの疫学調査では、初産による適応障害(*初めて母親になることへの不安)により、9割の女性に拒食や過食の症状が見られたとの報告がなされています。また米国摂食障害協会(NEDA)のある医師は、最近増えている中年女性の摂食障害患者の傾向について「30〜40代の患者のほとんどは若い時にすでに問題行動を起こしていた。中年になって初めて発症した例はあまりない」と発表しています。医師の中には離婚や子離れ、更年期の前兆として起こるホルモン変化をきっかけに摂食障害を引き起こしている、との見方をする人もいます。

こうした結果は、患者の心の問題を解決せずに"拒食症"を克服することはできないことを示しています。拒食症の根本治療は、食事療法や心理療法の次元で対処できる問題ではなく、ストレートに「心の病気を治すこと」に向けての対策でなければなりません。

娘さんの場合も何らかの心の問題やストレスを抱え、それが拒食症を引き起こしているものと思われます。どこまでも子供の心に視点をあてて、アプローチしていかなければなりません。

拒食症の治療の多くは心療内科や精神科などで行われますが、他の精神疾患と同様に現代医学を駆使しても思うように効果が上がらず、対症療法にとどまっているのが実情です。病院では心理療法(認知行動療法や集団療法など)・薬物療法・家族を含めた カウンセリングなどが行われていますが、どれも決定的な治療法と呼ぶにはほど遠いのが現状です。症状の程度にもよりますが、他の精神疾患と同じように慢性化する傾向があり、決め手となる対処法がないまま手探り状態で治療が進められるケースが大半です。心理療法や薬物療法などにより心の症状を部分的に緩和することはできますが、拒食症を完治させるには限界があります。


フロリダ州の成人の減量ブートキャンプ

昨年NHKで放送された英国の拒食症についての番組(*BS世界のドキュメンタリー2008年10月放送)では、親元を離れ拒食症専門クリニックに入院している10代の少女たちに対し、強制的な食事管理を中心とした治療が行われていました。興味深かったのは、退院後の患者が次のような3つのタイプに分かれるという点です。①退院して間もなく完治する ②何ヵ月かのサポートの後に完治する ③施設(クリニック)から施設へと流れ、拒食症を抱えたまま大人になる――この3つのケースです。番組では、拒食症が改善した少女と改善しない少女の様子がはっきりと映し出されていました。

実際に拒食症が治ったのは、「何らかのきっかけで本人の考え方が変わり、前向きに病気と向き合うようになった患者」のケースです。しかし外部から強制したり教え込ませるといった方法では、患者の心の持ち方や考え方を変えることはできません。本人自身が「これまでの考え方を変えて自分で心の病気を治したい!」と決意しなければ、周囲からどのような対策を講じても根本的には解決しないのです。心理療法や薬物療法で精神状態を変えて心をコントロールしようとしても、本人が自分の意志で考え方(価値観・人生観など)を変えようとしないかぎり心の安定は得られず、病気を克服することはできません。まさに"馬を水辺に連れて行っても水を飲ませることはできない"という譬えが、そのままあてはまります。拒食� ��は、どこまでも患者自身が意識的に取り組んでいかなければ解決できない問題なのです。

精神障害(拒食症)の治療が困難なのは、その点に最大の理由があります。患者が、「自分の努力で心の持ち方・考え方を変える」という段階にまで行き着かなければ拒食症の根本治療とはなり得ませんが、現実にはこれがきわめて難しいのです。

家族や医療関係者の役割は、患者の考え方・生き方の姿勢(価値観や人生観)が変化するように導きサポートすることですが、本人の気持が変わる時期がくるまでじっと待つしかないというケースが圧倒的に多いようです。拒食症の子供を持つ親御さんは決め手となる対処法がないために、悲観的・絶望的な気持に陥ってしまいがちです。


パラノイア古い親

当研究所では、拒食症の有効な治療法の1つとして「ボランティア活動への参加」を勧めています。"人のために働く"という利他愛の行為は、患者に喜びと刺激を与え、心の一番深い部分に変化をもたらすようになります。拒食症患者は一様に心のエネルギーが枯渇状態にあるため、正しい考え方や前向きな気持を持てなくなっています。しかし他人に愛を与えることで霊的なエネルギーが患者に流れ込むようになり、それによって心が安定し、本人の意識が変化していくようになります。「自分より恵まれない人がいる」という事実を知って利他的な活動をすることは、人間の心にもともと内在している良心性を引き出すのです。この意味で純粋な奉仕活動は、子供の心に変化をもたらす最適な治療法と言えます。人々へ の奉仕がこれほど"心地よい"ことだと分かれば、心の状態は根底から変化し、自分の心を占めていた美醜意識はちっぽけで、取るに足りないものであると考えられるようになっていきます。それによって「何が何でもやせたい!」という固執観念から解放され、心のバランスを少しずつ取り戻すことができるようになります。娘さんをボランティア活動などの奉仕の実践へと導いてあげることは、拒食症を克服するための1つの有力な方法になるものと思います。

また心の病気に対する補助的な治療法として、霊的エネルギー(精神エネルギー)を直接患者の心に投射する"スピリチュアル・ヒーリング"を試されることをお勧めします。ヒーラーから霊的エネルギーが与えられると心が明るくなり、すっきりとし、ストレスが解消されて前向きな気持を持てるようになります。

こうした治療法をベースにして、先に述べた現代医学のさまざまな療法を取り入れていく中で、少しずつ拒食症が改善されていきます。

いずれにしても、長い治療期間が必要となることを覚悟しておかなければなりません。他の精神疾患でもそうですが、拒食症の治療において何よりも大切な点は「お母さんが明るく広い心を持って子供に接する」ということです。お母さんがパニック状態になって強制的な態度で接すると、子供にさらにストレスを与え、症状を悪化させてしまうことになります。逆に安易な親切や優しさだけで接すると、子供に振り回され、親の方が疲れ果ててしまいます。子供の拒食症を、親子の絆を深めるために神さまが与えてくださった"ありがたい魂の訓練"ととらえ、病気を親子で乗り越える"共通の人生の課題"として前向きに受け止めるようになさってください。常に笑顔と広い心を持って「本人の自立(自己努力)」という方向に� �けて、一喜一憂せずに継続していくことが肝心です。

拒食症や他の精神疾患に対する治療については、Q&A「ホリスティック健康学」の項目(ホリスティック精神学)でも、詳しく取り上げる予定です。


グレートフォールズのレーシック眼科手術

参考(「ホリスティック精神学理論」より)

1.拒食症患者の心理状態

拒食症という精神障害の大きな特徴は、"やせることは無条件に善である"と頑(かたくな)に思い込む心の異常さにあります。ダイエットを一種の美徳とするような現代の社会的風潮にも問題がありますが、拒食症患者は狂信といってもよいほどにやせることに執着し、時には食べ物を"悪魔や敵"とみなすこともあります。そのため、できるだけ物を食べないようにしたり、いったん飲み込んだ食べ物を吐き出したり、がむしゃらに運動して食べた物を早く燃焼させようと必死になります。そうした闘いによって心の安定をはかろうとするのが、拒食症患者の心理の一つの傾向です。

2.拒食症治療の具体的な方向性

拒食症は精神疾患(精神障害)である以上、うつ病などと同様に本人の心が変わらないかぎり完治することはありません。患者自身が"やせることは善である・よいことである"という考えを捨て去り、"やせることは必ずしも善ではない"という考え方に変わらなければ、病気を克服することはできません。「体重が増えるのはむしろよいことである(美しくなれる、健康になれる、心が楽しく豊かになれる)」「食べ物は悪(敵)ではない」といった考え方を自ら受け入れることができれば、症状は改善されていくようになります。

拒食症の治療は、患者の心の持ち方・考え方を根本的に変えるように導くことであり、そこに照準をあてないかぎり、どのようなアプローチを試しても成功しません。"馬を水辺に連れて行っても、水を飲ませることができない"という譬えのように、現在の精神医学で行われている拒食症の治療(心理療法・薬物療法・カウンセリングなど)は、本人を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできていないのが現状です。拒食症の原因の本質は本人の心の問題にあり、「自ら 望んで水を飲もう」とする方向に導くことができないかぎり、根本的な治療は成立しません。これは他の精神疾患においても同様です。

3.拒食症の治癒の実際

①実際に拒食症が改善されるのは、思いもよらない些細な出来事がきっかけとなるようなケースが多いようです。周りの人たちの何気ない言葉、悲惨な人々のドキュメンタリー番組、動物との触れ合い、園芸などが本人の意識を変えるきっかけとなっています。心理療法や薬物療法が意識の直接的な変化を促すことは、むしろ少ないように思われます。


②病気の程度が軽い場合や年齢の低い患者のケースでは、「食事改善を徹底する」といったある程度強制的な対処法が功を奏し、拒食症から抜け出せる場合があります。しかし病気が進行している場合には、外部からの圧力による方法ではよい結果を得られていないのが実情です。(*こうした2つのケースが、先に述べた英国の拒食症治療の番組で取り上げられています)

③拒食症からいったんは抜け出ても、ダイエット以上に強く惹かれる対象・目標を持ち、それに集中してエネルギーを傾けることができなければ、何らかのストレスをきっかけに再び拒食症がぶり返す可能性があります。拒食症はタバコ・アルコール・薬物による中毒に共通する"嗜癖性(依存性)"を持つ精神障害です。心の持ち方・考え方を根本から変えずに中途半端な状態を続けるなら、簡単に誘惑に負けて再発してしまうのです。

4.家庭環境・家族関係についての見解

うつなど精神疾患を取り扱う際に必ずといってよいほど問題視されるのが、家庭環境や家族との人間関係です。拒食症についてもしばしば同様の指摘がなされます。家族関係が複雑で問題の多い家庭の子供ほど拒食症になる可能性が高いとの見解を示す研究者がいます。たしかに育った家庭 環境が原因となって拒食症という心の病気が引き起こされることもあります。しかしそれが拒食症発生のすべての原因とは言えません。また拒食症の患者は家族関係が希薄で、家族から愛されていないという理由を挙げる研究者もいますが、必ずしも事実とは言えません。むしろ患者の多くは親からの十分な愛を受け、経済的にも恵まれています。拒食症で死亡したカーペンターズの"カレン"のケースでもそうですが、患者の多くは家族から温かい愛情を受けています。しかも必要な医療も受けられ、何ひとつ不自由のない生活ができる環境におかれています。拒食症の子供を持つ親御さんは、とかく自分たちに責任があるのではないかと自分自身を責める傾向がありますが、それは子供にとってプラスとはなりません。拒食症の発生に� ��、家族関係以外にも、外部(学校生活・職場など)の対人関係のストレスが原因となっているケースがあります。拒食症の原因を単純に家族関係だけに決めつけることはできません。


5.遺伝的要因に対する見解

拒食症患者の家族には精神障害などの既往歴のある人が多いことや、拒食症に関連する遺伝子が発見されたことから、その発症には遺伝との関連性があることが考えられています。しかし拒食症は遺伝子傾向があっても必ず発生するといえるような病気ではありません。拒食症にかぎらずほとんどの病気は、先天的な条件によって100%決定されるのではなく、後天的な要因による影響も受けています。むしろ後天的な影響の方が多いと思われます。



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